◆ 7月23日(月) 哀しくなる店
今日は休みだ。いい気分で家を出て、昼ごはんを食べに行った。帰りはぶらぶらと散歩がてら商店街を通り抜けた。
いつもは日曜日にしか通らないので、その店が開いているのを見たのは初めてだった。外から覗くとハムスターの気配がする。自動ドアを開けて中に入ると、すぐ左にハムスターのケージがあった。
思わず絶句した。入らなければよかった。ケージの中に入っていたのはガリガリに痩せて毛の抜けたハムスターだった。ケージの隅にあったペレット(餌)にはカビが生えていた。床材がわりの新聞紙だけ取り替えて、餌は何日も放置したままの様子だった。もっと呆れたことに、この店はこんな状態のハムスターを「大特価1500円」として売っていたのだ。
見ているのがかわいそうで店を出た。こんな店はここだけではない。東京だけでなく日本全国に、ここと同じくらいひどいペットショップがたくさんあるのだ。私に何ができるだろう? とぼとぼと家路につく私はやるせない気持ちでいっぱいだった。
10分ほど歩いただろうか。どうしてもさっき見た子たちのことが目の前をちらついてしまう。このままでは今夜眠れない。そう思った私は来た道を引き返した。意を決して店に入った。ハムスターのケージを一瞬見てから、店の奥にいた店主に話しかけた。「ハムスターの状態があまりにひどいんじゃないですか?」と。「ひどいとは?」と聞くので「あまりに痩せて毛も抜けているし…」と言うと、「あれはジャンガリアンだから。あれ以上大きくならない」と答える。私が言ったのはそういう意味ではない。「ジャンガリアンが大きくならないのはわかってます。家にだっていますから。それにケージに入っていた餌もカビが生えてます」と言うと、「さっき掃除したばっかりだから。あとで取り替えておきますよ」と答える。そして早く話を打ち切りたいとばかりに、店の奥にある部屋に入るとピシャッとガラスのドアを閉めた。
私は言いがかりをつけたかったのではない。売り物であるにも関わらず、ひどい状態で放っておくのをやめてもらいたかっただけだ。だから私はそれ以上店に文句を言うのをやめ、私なりのやり方を取ることにした。幸い今日はデジカメを持っていたのでハムスターのケージのところに戻り、写真を撮った。ハムスターは訴えるような目でこっちを見ている。引き取ってやれないことをハムスターたちに謝った(この店で買ってしまえば、またかわいそうなハムスターが増える)。店を出てすぐにサングラスをかけたのは、光がまぶしかったからだけではなかった。 |
どうしても許せないペットショップ。
ケージの隅のエサはカビ。
痩せて毛の抜けたハムスターたち。
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