待てばカイロの日和あり *エジプト旅行記 6日目*
3月22日(木) 晴れ
昨夜は22時くらいにベッドに入り、 ときどき目を覚まして水を飲みながら 朝までかなりしっかりと眠ったらしい。 今朝の熱は38度1分。 でも、頭が痛くないだけでもずいぶん楽。 船は寝ている間にコム・オンボに着いていた。 船には本日の予定が記されている。 朝食前にコム・オンボ神殿を見学するのだ。
6時15分からバーで朝のコーヒーが飲めるので、 ケーキとコーヒーで目を覚ます。 ボンヤリしているとSパパが「ラクダが流れとる……」と言い出す。 まさかそんなはずは……、と思いながら川面を見るとラクダが流れてきた。 このラクダもナイルの肥やしになるのだろうか…… 7時になったのでガイドのモーメン氏とともに船を降りる。 こんな船だったのか〜 コム・オンボの町はまだ眠ったまま。 夜に来れば、それなりに楽しい町なのだろうな…… 埠頭から2〜3分のところにコム・オンボ神殿はあった。 ホルスとソベクの物語。 そう、ソベクはワニの神なのだ。 ここからはワニのミイラが発見されたらしい。 ここには珍しいものもたくさんある。 その1つがカレンダー。 きちんと日付が描かれている。 これはくぼみに木を差し込み、その上に柱を立てることで 免震構造を実現したもの。 古代エジプト人、なかなかやる〜 この壁画を見ると、当時の医学も発達していたことがよくわかる。 そしてナイロメーターもあった。 ナイル川につながっていて、川の水位が分かるのだという。 この水位によって税率が決まったとのこと。 神殿から出てくると、ちょうどワニ博物館が開館していた。 ついこの間まで工事中だったらしいのだが、 最近オープンしたということで 「皆さんラッキーでしたね」と言われた。 そりゃもう、私がいるから。(笑) 館内はフラッシュ禁止、展示物に触れるのも禁止。 でもカメラ撮影はOK。(^-^)v 早速ワニのミイラに見入る。 よくできてるな〜 コム・オンボ神殿のワニのミイラが発見されたところは ちょうどこんな具合になっていたらしい。 仔ワニのミイラもあったよ。 モーメン氏には「観光客がいなくて貸切でしたね」と言われた。 同じ船の乗客はすべてフランス人で、 彼らはルクソール→アスワン→ルクソールと往復する1週間コースなので 観光は全て往路ですませてしまったため、 今回の復路では下船して観光はしないというのだ。 なんとまあ、優雅なこと。 この調子だとどこに行っても貸切だなあ。 船に戻ると朝食が用意されていた。 パン。 ハムとチーズと野菜。 アンズにナツメヤシ。 その他、いろいろなお料理。 早速いろいろ取ってきた。 フール(そら豆の煮込み)にはゴマのペースト、 玉ねぎやピーマンをのせ、レモンと塩胡椒で各自 味をつけるのが正しい食べ方。 そのフールはアエーシと一緒に食べる。 ついでにおかわりしてきたり…… 食後にヨーグルトを食べたり。 熱はどこへやら、とにかく食欲だけはしっかりあるようだ。(笑) 船はすでにエドフに向けて出発している。 朝食後、私たちもサンデッキに上がってみた。 プールがあったりして、なかなかのんびりした雰囲気だ。 両岸の風景は刻々と変わっていく。 墓があったり…… 畑があったり…… ちょっと風が強くて寒いのが残念だが、 いつまで見ていても見飽きない。 すれ違う観光船に手を振ると、向こうの乗客たちも手を振ってこたえる。 こののんびりした雰囲気がクルーズ船の醍醐味だと思う。 もちろん飛行機や車で移動すればもっと時間短縮にはなる。 でも、こうして悠々と過ごせる時間も貴重だ。 中国の三峡や桂林でも船に乗ったけれど、 それとはまた違った雰囲気が味わえて新鮮だ。 そうこうしているうちにピザ・パーティーが始まった。 サンデッキのバーでミニサイズのピザが配られ始めたのだ。 今日は朝から食べてばっかりだ、と思いながらも ピザを1つもらってきた。 熱ければもっとよかったと思うが、この気持ちいい空気の中で のんびりねそってピザを食べるのも面白い。(笑) そうこうしているうちに船は徐々にエドフに近づいていく。 日エ共同で造られたフローティング・ポンプ。 こうした日本の技術はエジプトでも役立っていると思うとうれしい。 徐々に町が大きくなってきた。 風景はさらに変わり、エドフに到着した。 ここからは馬車に乗り換えてホルス神殿に向かう。 車とは違う馬車のスピード。 ポクポク走る馬のリズムが背筋に響く。 20分ほど馬車に揺られただろうか。 ホルス神殿が見えてきた。 ハヤブサの頭を持つホルス神。 このヌビア地方にはホルス神の伝説が多く残っているようだ。 当時の柱は1本1本デザインを変えて作らている。 私たちからすれば統一感がない気がするが、 これはこれでいろいろな意味があるのだろう。 アンク(生命の鍵)とカー(両手)のモチーフ。 この絵柄はあちこちで見かける。 神殿内部の壁画はほぼ完全な形で残っていてよかった。 あまりに暑かったので、みんなでアイスを食べる。 カイロなら1本5ELなのだが、ここ観光地では1本が15EL。 それでも「売れないよりは5本売れた方がいいでしょう?」 というエンちゃんの値切り攻撃で1本が10ELとなった。 さすがエンちゃん、中国人の本領発揮。(笑) のんびりアイスを齧りながら、馬車で船に戻る。 船の前でも馬車の写真屋さんに対して エンちゃんが中国人の本領発揮。 素晴らしい。 私もこうありたいものだ。(笑) 私たちが船に戻ると、待ち構えていたかのように出港する。 私たちはそのままダイニングルームに下りて、昼食。 まずはパンを食べながら料理を待つ。 今日のスープはカレー味のミネストローネ? 前菜はズッキーニのグラタン。 ナスで作るムサカのズッキーニ版といったところ。 これはかなり気に入ったので日本に帰ったら作ってみよう。 本日のメインはチキン。 パン粉を詰めて焼いてあるので香ばしい。 フィッシュも味見したけど美味しかったよ。 サラダは甜菜大根。 デザートはフルーツ。 バナナは丁重にお断り。(笑) 食後、船長室に案内された。 船長はヌビア人。 1つの船に3人の船長が登録されていて、 そのうちの2人が乗船して交代で舵を取る。 しかも船長はこのあたりのことをよく知っている人間、ということで ヌビア地方の農民が5年契約で船長に採用される。 珍しい制度だよね。 船長室から出て、しばしタイタニックごっこ。(笑) いや、沈没したら困るけど。 一旦部屋に戻って休憩したら、服を着替える。 今日はもう下船の予定はない。 明日の朝まで船で過ごすので、ちょっとだけおしゃれな服を選ぶ。 サンデッキに上がるとアフタヌーン・ティーが始まっていた。 徐々に日が暮れてくる。 船はエスナロックに近づいてきた。 まずは第1の水門を通り抜ける。 ほとんど隙間のないところを少しずつ進んでいく。 どうやら第1の水門は通り抜けたらしい。 次はいよいよロックゲート式の水門を通る。 残念なことにここで水門通過の順番待ちをしているうちに 日が沈んでいく。 すでに30分以上待っている。 サンデッキで外を眺めていると、物売りの小舟が近づいてきた。 何やら叫んだかと思うと、ビニール袋に包んだスカーフを投げてよこした。 勝手に投げておいて「金を払え」と言う。 冗談じゃない。 小舟めがけてスカーフを投げ返してやった。 ちょっと小舟からそれて水に落ちてしまったが、私の知ったことではない。 そもそもあっちが勝手に投げてきたのだ。 彼らも「これは脈無し」と思ったのか、船をこいでどこかに行ってしまった。 あたりはだんだん暗くなる。 順番はまだ来ない。 すっかり暗くなった。 ここに来て、すでに1時間半が経過している。 もう待てないと思った瞬間、水門から観光船が出てきた。 とうとう私たちの船の順番がやってきたのだ。 狭い水門をゆっくりと進む。 両側から物売りの攻撃。 買わないって。(笑) そして船は一番奥まで進み…… 徐々に水位が下がる。 さっきあんなに下に見えた岸が、今は目線と同じ高さだ。 鉄橋の下を通過し、船は無事に水門を潜り抜けた。 さあ、安心したらディナータイム! 今夜はお待ちかねの「オリエンタル・ディナー」なのだ。 前菜から温かい料理まで、様々なアラビア料理が並ぶ。 キャロットスープは「少しね」と言ったのに なみなみと注がれてしまった。 そりゃそうだよね。 だってお客さんは20人しかいないんだもの。 料理が余っても仕方ない。 船側としては、とにかくどんどん食べてほしいのだ。 前菜のプレートに…… 温かいお料理のプレート。 どれもおいしかった。 とくにビーフミートボールが美味しかったので、おかわりを…… デザートはちょっと甘すぎて残してしまった。 ゴメンナサイ。 食後、急いで部屋に戻ってガラベーヤに着替えて、 21時半からのガラベーヤ・パーティーに参加。 最初は踊り方がわからなかったので、ちょっと困った。 お客さんが少ないので、船のスタッフが率先して踊り出す。 いつもクールにドリンクを運んでくるバーのお兄ちゃんも ノリノリで踊っている。 よくよく見れば、なかなかのイケメンではないか! いいねえ、いいねえ、こんなところで目の保養ができるとは。(笑) エジプトには意外とイケメンが多いぞ! # 眉毛のつながった顔はちょっと苦手。 本題のガラベーヤ・パーティーの方は、 なんとか一緒に体を動かして、踊りに「参加」。(笑) 独特のリズムがやっぱり難しいよね。 1日のんびり過ごしているうちに、熱もすっかり下がったみたい。 それにしても今日は1日食べてばかりだったな〜 <つづく> (旅行中に書いていた日記を元に修正しました)
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